「起因 」 散文詩/アラガイs
 
が、それでも親子の関係は日を追うごとに悪化する。年を重ねるごとに意固地も増してくる。喜寿を過ぎれば認知症の兆候も現れはじめるだろう。物忘れを自覚できない欲深い年寄りをみたまえ。決して預金通帳をその手から離そうとはしない。猜疑心は醜いほど一生頭から消え去ることもないのだ。

育て方を間違えたのだという認識が後になって確信に変わる。
そのような認識に囚われてくると、親にしてみれば子供は盗人よりも質のわるい存在に映り出すかもしれない。本音で言い争う肉親の喧嘩はより辛辣になる。無視と決め込もう。それでも一方的に突き放すことはできない。親子に流れる血の関係を、自らの意思で断ち切ることは虚しい。


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