「起因 」 散文詩/アラガイs
憎悪による不思議な感情の力によって。夥しい年月の数を狭い空間の中で同時に過ごすのは、互いの成長を止めてしまう。思いやる気遣いなどはいつのまにか忘去られてしまうだろう。親にしてみれば、自立できない子供などは次第にやっかいな存在として映るだけだ。いちいち文句を言われるばかりで、安心して経済的に頼ることもできない。たとえ身の回りの世話をすべて任せるようになろうとも、それは自分の蓄えを当てにした行為にちがいないと不満因子に支配され、素直に感謝する心得は既に消え失せてしまっているのだ。罵りあう度に憎悪だけが募る関係をくり返せば、それは互いに面倒なだけの存在にもなってくる。子供は自力で旅立ちを決意するが、何
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