混迷錯雑した小説論/yamadahifumi
で簡素な物語を好む。ネットで今溢れている単純なストーリー…例えば、様々な陰謀論や、日本が悪くなったのは〇〇が悪い…こういうものは正に、通俗小説のように流行っている。人々が好むのは人間の複雑さではなく、人間のシンプルさである。複雑なものを理解するには、こちらにも複雑な精神機構を必要とするが、しかしそれは人間にとって、あまり簡単な命題ではないらしい。そこで世界にはシンプルな物語が溢れる事になる。難解なもの、重たいものを厭う精神が、そのような物語を世界に表す事になる。しかし、それは単純さ故に世界の上をすべるように流れていく事となる。
別の事を考えてみよう。君が小説を書くとして、君がある人間を
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