或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
彼らの脳みそは近松秋江と正宗白鳥で止まっているんだと思います。だって、見てください。僕の前の芥川賞受賞作品、あれは何でしょうか。どうして今頃、田舎の郊外での祖母との暮らしをあんな風に切々と描かなきゃならないんでしょうか。そして選者はどうしてあれをあんな風にして褒めるんでしょうか?。…全く、どうでもいいですね。僕はほんとに、どうでもいいと思うんですよ。この賞もどうでもいいし、僕の作品もどうでもいい。でもね、僕は逃げなかったつもりですよ。つまり、この今の社会からね。大抵の連中は皆逃げている。どうしてかって?。…簡単ですよ、そっちのが『文学』っぽいからですよ。くだらないですが。『文学っぽさ』を出すために
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)