或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
 
いものも、全部娯楽だ。僕がどれだけ生命を捧げて書こうと、所詮は娯楽なんですよ。娯楽。そしてそれ以上の事はない。僕が一所懸命書こうと書くまいと、全部同じ事だ。こうして喋っている僕を、テレビの前の人間は笑っているでしょう。結局、今の僕などというのはおもちゃなんですよ。僕の話をまともに聞くのは、未来の芥川賞受賞者ーーーつまり、作家志望者だけでしてね。でも、彼らも僕の言っている事を、自分が賞を取るための秘訣がどっかに隠されやしないかと思って聞くだけでね。彼らにとって僕なんてどうでもいい。全ては、彼ら自身が立派な賞を取るための、その踏み台に過ぎない。僕はその踏み台として使われようとしている。全く、最近の若者
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