また、イスのせい/「ま」の字
お迎えするその日その時まで歩きなさい
それが人生に対する 前向きな態度というものだ
関係者全員
さいごは草のうみのどこかで風に吹かれる
「もと人間」の姿でな
狐の眼のようなものが静かにこちらを見ている
ほんとうのことを知りたい
ほんとうのことを ほんとうに知り
そして為したい
たとえ失敗が待ち受けたとしても それはそれでいいではないか
けれどほんとうとは
うっすらと山野を覆っている うしろめたさなのか
今となって取り返しがつかなければ
見えないものか
山本通はいっぽんみち もっとさきまで
見えていい
また イスのせい
午後の光は角度を減じてゆ
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