まるで閉じられた目蓋が開いただけとでもいうように/ホロウ・シカエルボク
くり貫かれていて、人間が潜り抜けられるようになっていた
潜ると中は自然の侵食を利用した展示コーナーになっていて
その海の歴史なんかが語られていた
俺がぼんやりとそこを眺めていると少し肥満気味の大柄な爺さんがやってきて
展示品をチェックする振りをしながら俺のことを監視していた
俺を、死にに来た人間だとでも思ったのだろうか?
ああ、穴、と俺は思った
目の前の奇妙な穴のせいでそんな夢のことを思い出したのだろうか?それとも
なにかしら死を連想させるようなもののせいか?
あの夢の中で俺はその後、なにをしていたのだろう?
それ以上海へは近づかなかった気がする
荒れた
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