あれかこれか/ハァモニィベル
バー・モア」
エレベータでは、キリストが「開く」ボタンを押したまま待っている
ようやく、朝の気配を感じはじめた。
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「ハル? そう、春。 そうだ、そこに来てる、今。 ああ、判った、
了解。 では、また報告する。 多分。」
ブン、ブン、ブンウウーンンン……………。
話し終えると、男は不思議な装置の電源を切った。
弾力の余韻が、男の立っている都市のOrchestraに飲み込まれ、
耳が雑踏に慣れると、はっきりと、何かが始まったという気がしてきた。
長身の背中が、トランステクノのリズムで歩みを刻みながら、
途中、すれ違うヒトの
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