六月三十一日/飯沼ふるい
 
だけれど
するすると紐がほどけていくばかりで
衣服も溶けて
皮膚も筋肉も骨も腸も大気中に分解されて
とろとろの半熟眼球ふたつ、ぽたりと落ちた
白色蛍光の光に濡れた
水晶体がわたしを映す
出かけなくちゃいけないのに
朝ごはんはまだできない
彼がわたしのことを可哀想な目で見ている
いや可哀想な目でって笑
あんた目しかないっつーのにね笑
あー朝ごはんあー朝ごはん

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春と夏の真ん中で
日射しが君の形をくり貫いた
後に残った蜃気楼
ゆらゆらと
そこだけ秒針が頼りなく
君との時間も途切れがちになっていく
横断歩道を渡ると
風が器物を吹き飛ばす
振り返れば
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