六月三十一日/飯沼ふるい
 

めくれあがった舗装路のすぐ下に
生乾きの肉がひしめいている

ジューンブライド、その慰めのような響き
君が遠く
屈折した熱源の裏側へ蒸発してしまったら
町の名もすっかり消えてしまった

ジューンブライド、君の影だけがよちよちと歩きはじめ
傍観者の歌う民謡が
さみしい風を呼んできてしまったら
視線のない景観だけが取り残された

さよならしか言えない
祝日のない季節
いつまでも時間が進まない
非日常の季節
歩いても歩いても
日は沈まない
夜は明けない

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「あ、ひこうきぐも」
そういって、はやしくんが、そらに、ゆびをさしました。
「ほんとだ」
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