『 夢セイRunの着床 』/狩心
 

 つまり「 それ 」が
 私の頃の私で、
 部屋の壁全面が鏡張りになっていて
 そこには他人の姿をした自分が
 無限の反射で無数に連なっている

 大Youが湧いたヤカンの音でまた
 目前に朝もやのマチがアラワレ
 「オカエリナサイ」
 「イッテラッシャイ」
 という音声が交互に流れてきて
 その速度が速まると
 2つのイセイは完全に一致し、
 「 異口同音 」の
 「 同音異義語 」の
 行方不明になる

 飢えて倒れた旅人達の屍が集まって
 懐疑的な会議が行われ、
 始まりが幾重にも重なって
 「 新たな 」人や動く箱が少しずつ増え
 輪廻の擦れ
[次のページ]
戻る   Point(2)