対/ホロウ・シカエルボク
 
たし、特別探ってみる必要も感じなかった、だからそれはもう何もないということでかまわなかったのだ


絶対的な静寂はノイズのように騒がしい、むしろ、絶対的なノイズの方が静寂としては正しいのかもしれないとそう思えてくるほどだった、静寂が脳味噌を掻き回していた、それが描き出す脳漿の渦が、ヴィジョンとして見えてきそうなほどだった、掻き回し…その流れに乗って底に沈んでいた何かが浮かび上がってくる、それは例えるなら標的の居ない呪いのようなものだ、握り潰された球体のようないびつな形、ゆがんだ形、頭蓋骨のように浮かび上がって渦の中心に現れ、そしてまた沈んでいく、確かめる必要はなかった、それがなんなのかという
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