対/ホロウ・シカエルボク
いうことだけはよく判っていた、それは沈んでしまってかまわないものだったのだ、少なくとも今は…
それは生命の本質であるような気がした、本質というのは、得てしてただそこにあるだけとしたものなのかもしれない、景色のようにただ淡々と目に映るだけのものなのかもしれない、それを認めたがらない強情っぱりどもが、美しい旋律を貼り付けたりこましゃっくれた言葉を貼り付けたりするのだ、まるで無数の出来事が書かれているような顔をして白紙のページを凝視しているのだ、彼らは空虚が怖ろしいのだろうか?存在の本質に理由があるのなら、存在にはもう存在する意味などないのではないだろうか?すでに書き尽くされたページに、新たに何かを書き足そうと考える者などいるだろうか…?
何もないからこそそれは成り立つのだ、平坦な砂地だからこそ、そこに何かが起こるだろうと考えるのだ…
俺は目を開いた、住み慣れた部屋がそこには在った、少し遅い朝で、机の上には書きかけの文章が待っていた。
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