スコールの、始まりのよに/ホロウ・シカエルボク
 
ちょっと記憶が定かじゃない、なんてことない春の日で、陽射しが穏やかな午後だった、授業が早く終わる日で、気持ちがのんびりしてたんだ、だからちょっと遠回りした、それが間違いのもとだった、ある道を歩いていてあっと気がついたんだ、その先にはぼくらの間でちょっと噂になってる踏切があるってね…そこについてはいろいろな話を聞いていて、その中には昼間起こったこともたくさんあった、特別ひと気のない場所とかそういうんじゃなくて、人も車もわりと多い普通の踏切なんだけどね、本当にやばいってみんなが言っていた、そんな踏切だったんだけど、引き返すには少し遅いくらいには歩いていたし、まさか自分がそんな目に遭うなんて思ってもみな
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