On The Road Again ( new classics )/ホロウ・シカエルボク
 
そこを離れた、二人は道まで出て来て見送ってくれた「元気でね」ときみは言った「落ち着く先が決まったら手紙を頂戴」ここの住所だ、と男が一枚のカードをくれた、ぼくはそれをリュックの外ポケットにしまった
「あなたと歩くの、結構好きだったわ」ときみは言った「すごく静かに、真面目に歩くもの」
意外だな、とぼくは言った「きみはそういう歩き方は嫌いだと思っていた」もちろん冗談だった、ぼくたちはひとしきり笑った
じゃあ、とぼくが言って、そこからはすごく真面目に別れた、二人はぼくがすごく離れるまでずっと見送ってくれた


ぼくが落ち着く先を見つけるのにはそれから二年かかった
ある小さな街のアパートの五階
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