On The Road Again ( new classics )/ホロウ・シカエルボク
 
笑いながら言った「どうせお部屋でわがままばっかり言ってる手のかかるお嬢様だと思っていたんでしょう」
ぼくは苦笑した、たしかにその通りだった
「考えてみなさいよ」ときみは追い打ちをかけた「そんなお嬢様だったらこんな旅にのこのこ着いてくるはずないでしょう」
たしかにそうだ、とぼくは思った「たしかにそうだ」と認めるしかなかった
ふふん、ときみは勝ち誇った、そして、ビーチボーイズをハミングした、アルバム一枚分くらいでその日の宿に着いた


スティーブ・オースチンみたいな宿の主人は、フロントのカウンターで目を丸くした「この宿は十五年くらい営業してるが」
「歩いてやってきた客は初めてだ」

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