僕は君と、めがねの置き方を知らない/赤青黄
あの病院にいて、今度はなぜか診察をうけていた。
「風邪のようですね」
「いや風邪じゃないですよ」
診察室の窓から鈍い陽の光りが無駄に広い院長の診察机を照らしていて、、、だから僕はめがねの話を切り出せないでいた。
「見えないんです、返してください」
「でも君は今まで大切にしてこなかったのだろう?」
「はぁ、まぁ」
「あのめがね、なんだか評判がよくてねぇ。今度、市役所のカウンターに置くことになった」
「なんの評判がよかったんだよ」
「使い勝手がいい、若い人から老人にいたるまで、あのめがねをつけた人達は皆あらゆるものが見えやすくなったという。あれはただのメガネじゃない。だれ
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