箱庭にて 序章 (未完成)/黒ヱ
のだ。内心ではせっかくここまでの思い立ちに、向こうにも隠れることの出来ない状況にしようと思ったのである。それは、とてもとても興醒めであったから。
そうと決まれば行動するは易し。一気に目の前の木立を消してみせた。そして駆け出した。次は、向こうの木立だ。
そこで、青年の目には驚くべき光景が飛び込んできた。なんと、向こう側の木立も同時に消え失せていき、それだけでなく青年と同じようにこちらに駆け出してくるではないか。青年は驚き慄いたが、速度を乗せた足は止まらず駆けそのまま止まろうとし、それの前に倒れこむ形で静止した。
青年は突っ伏したまま、今の万物流転の現象を思っていた。(ところが青年の思考を超
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