箱庭にて 序章 (未完成)/黒ヱ
を超越した今の現象により、すでに白紙の辞典だった)何を考えても答えが出ない。完全に予測外のことが起こっている。青年のふやけた思考は混乱に混乱を重ねた。ただ分かることは、今この時に目の前に立たれているという事だけだ。きっと見下ろされてるに違いないので、羞恥がこみ上げてきた。ほんの刹那で見やる事が出来るのだが、首が上がらない。まるで鉛のようだった。
固まり続けて己は石であったかと錯覚する程の時間を経た後、青年はほんの一寸、目線を上へ泳がせた。するとどうであろう。二つの手が見えた。まさしく青年と同じ様に手を付いているのが見えた。青年は歯を食いしばった。また羞恥が昇ってきたのである。同じ目線まで下ろされ見つめられてると思った。
もうこれ以上はない。青年は羞恥の限界という意味ではそう思った。それならばと、青年は捨て身にも似た思考が湧き、どうとでもなればいいと思えた。
刹那、青年は顔を驚くべき速度で上げた。
驚嘆
痩せ細った黒衣の青年
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