箱庭にて 序章 (未完成)/黒ヱ
 
うで、あの時見て何度も想い焦がせたそれ自身ではないとは疑わなかった)
これは大変なことである。また新たに想いあぐねなければいけない。少年は初めて高揚と共に焦りを覚えた。しかし好奇の思いの方が埋め尽くしていたので、少年は微塵も暗い気持ちは灯さなかった。
これを一度目とし、同じことは何度か繰り返せた。


会得


痩せ細った黒衣の青年
「あいや! せめて一口だけでも!」
 黒衣から伸びる白い手足が長く感じ始めた。そんな頃になって、その青年は先があるのを漠然と感じていた。と言うよりも、今のままでは満足に至らない事に無意識で感じていたのだった。しかし青年は先を想像することが出来なかっ
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