湧出鬼没 (三篇のオムニバス)/るるりら
 
て 中心にある事柄を見ようとはしない。

言霊たちは ついに反旗を翻した。
もうまっぴらなのだ。人間の管理下を脱走して、
言葉たちは 先祖がえりをしはじめた。
人々は、すこしもそのことに気が付かないようだが、
言霊だちは コンピューターの中には もうすっかり居やしない。
人気のなくなった古本屋からも 言霊は 脱走した。


シツケの悪い掃除ロボットが、床に糞を撒き散らして彷徨っているなどと
人々は噂しているが、それは ちがうぞ。あれは 亀だよ。
それも、甲骨文字を背中の内側に持つ 亀なのだ。
亀の甲羅の内側には無数の言霊が生きている。
甲骨文字は すべて占いに直結してい
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