姉ちゃんの本棚のホットロード、/末下りょう
い火花を散らしてそんなにも
胸を熱くするのかと 、
指が震えた
改造車のヘッドライトが夜のガードレールにさらす青ざめた炎を抱きしめ
寒空に鳴り響く傷を分かちあい
赤いテールランプを見据え 、
オキシドールで脱色した季節を捧げあう者たち
あらゆるハルヤマの横顔に憧れ、セリフを暗記した
和希みたいな彼女が欲しかった
見たこともない明日の軽さと重さは同じ重さだとしった
はみ出さなきゃ見えない夜をしった
爆音とクラクション、ライトのなかで揺れながら星になる者たち
信号はただの信号で
走りたければ走ればよかった
澄み切った夜明け、彼女たちの涙、純白の特攻服
海
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)