かくも愛すべき水底の。/ホロウ・シカエルボク
だ、そいつは間違いない。純粋なだけの純粋さは首吊り自殺で終わるのがオチさ…汚れて見せることだって必要だ、周囲の人間を戸惑わせて、眉をしかめさせることが必要なのさ。そうさ…誰かが認めてくれたのかい、その噎せ返るようなピュアネスはいつだってお前の胸元で蜘蛛の巣に捕われた蝶のようにもがいているだけじゃないか?本当に周囲を巻き込もうと思ったら、戦略は必ず必要になるものさ、小狡さとか図太さの話をしているんじゃない、コントラストを極端に強くしてみせるのさ、指先を自慢したければ手の平を徹底的に汚してみせることだ。誰かがあるとき俺にこんなことを言ったよ、「お前の書くものはどれも似過ぎていて陰鬱で救いが無い」って。
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