月の光の信仰/いねむり猫
 

どこまでも透明な 海流の底

光の道が 幾重にも交差して 

青い荘厳な布を 織り上げている 


光は 時折 潮の流れに乱されながら 

遠く 遠く 

まだ予想もできない旅の目的地を 目指している 


深海に住まいする 獰猛で 貪欲な 生き物たちが

傷だらけの 重く 大きな体をうねらせて

深い信仰を持つ 信者のように

旅を続ける


この静かな巡礼こそ

海に住まう者たちの 

生を束ねるおきて なのだ


地球と海が 生き物たちに投げかけた

壮大な問いへの

その答え


慣れ親しんだ各々の波長で 長く太
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