月の光の信仰/いねむり猫
 
く太く歌う
自分なりの応え

深海の霊廟へと向かう 帰り道で 
自分を取り巻き 静かに下降する
深海の雪たちへの挨拶として



私は 生きてきた
長く生き続けた
他の仲間より長く 

多くを背負い 多くを喰らい 多くを捨てながら
今を生きて そして ふと目覚めるように
この旅に出る時を 得たのだ

長い生の中で 
見失ってしまった 命の閃き
 私を今 穏やかに導くのは 
  降りそそぐ月の光の道

ただ懸命に 遺伝子の命じた生を駆け抜けた
一瞬 一瞬の 戦いを紡ぐ 心地よい海流の香りだけが
自分をつないでいたように思う



月の光の中で 淡く想起される 生の閃き

その度に 体が 白い雪の中に 溶けて込んでいく

深い 深い 海の問いかけの中に

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