何もわからないのうた/なけま、たへるよんう゛くを
 


雨は止まずに地を流す
雨は畑に子を宿す
思い出遠く牛の声
手近身近に黄泉(よもつ)越え

正しくなろうと踏み外す
悪に浸って強くなる
ずるりと重たいこの気持ち
ぴくりと動かぬこの面持ち

嘘もあなたを喜ばせ
そんな誠で僕が死ぬ
ていうか死なない
ていうか死ね

はいかいいえが欲しいのよ
君の意見が欲しいのに

善いと呟き
悪いと叫ぶ

独り夜風に縁(よすが)探すが
何もなんにもわからない

*三番


苦し紛れのその一刺しで
万人こぞって苦しめる
死ぬの生きるの口を突いては
露も思わぬ事ばかり

{ルビ故郷=ふる
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