【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
 
が網膜を焼き焦がし、【影】だらけ盲点だらけの視野を映し出す。

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熱、黒い父や黒い母が炎の中に揺らめいているのが見える、インクで汚れていく日記帳、文字が咲き乱れているよ、
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 焼け焦げるように余白が黒く塗りつぶされていく【日記帳】の、記憶からこぼれ落ちて【文字が咲き乱れている】。
 飛蚊症。飛「文章」だ。自我に食われた「口なし」の言「葉」が、他者に食われた自我を記憶に「記」す。
 語り手は「己を言」えない。だからこの詩が書かれたのだ。



◆3章【●eyes「眼中にな
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