【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
 
出する鱗粉が、4章の【燃やされた私の灰】に該当するのだと考えれば、【ひかりの鱗粉】はマッチおよび鬼火の「燐」に換言できるだろう。

 幼い蛾(我)は【kasou】(仮想/火葬/仮葬)によって羽化し、灰を振り落として飛翔する。
 言わば「かつて(過去)の自分」をふるい落として、あらたな自分へ転生する。あたかも不死鳥だが、この【架空の翅】(4章)は甘い【夢ではない】。
【空から降り注ぐひかりの鱗粉、透明の翅】、ここで【空】は空即是色の「クウ」(目に見えない不動のもの)を示唆する。透明とは無色、すなわち「シキ」(目に見えて変化するもの)ではない。
 捏造された迷妄のまま凝り固まり不動となる自我
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