【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
溶けていくまるで焼け焦げて歪む写真の像のように、
------------</quote>
クチナシの害虫として有名な【オオスカシバ】は、鱗翅目スズメガ科の蛾だ。「我」だ。
害あるその幼虫が示唆するものは、語り手の【瞳】(童の目)だ。
語り手は「口なし」の言「葉」で、虫食いの視野を養っている。
その虫食いで開く穴は、盲点か、逆に風穴か。
自我に自己の記憶を食わせて「視野を狭窄させている」とも「視野を拡大している」とも取れるが、どちらでも結果は変わらない。
視野が狭窄して自我しか見えなくなっても、視野が拡大して多くの他者が見えるようになっても、まさに同じ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)