【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
 
がら遺伝、あたかも原罪だ。智者も悪人も等しく迷執する自我の監獄は。



◆2章【●kasou「視線(焦点「の延焼(盲点

 冒頭で鏡像段階と自我防衛機制を踏まえ一例を挙げたが、2章で語り手の自我は崩壊している。
 直視し合わない両眼、交錯する見解の摩擦が自我を焼き焦がす。歪んだ視線の「焦点」から「盲点」が延焼して、視野を焼け野原にする。そうして了見が狭まれば狭まるほど、見解の穴から射す光明の【明度】(4章)が上がる、【なんの比喩もそこに介入できない】

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庭のくちなしに火を放つ、炎に浮かぶオオスカシバの幼虫は痙攣しながら溶け
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