【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
どに物を言うはずだが、語り手の偏見は声にならない。3章でも【吐血】にしかならない。
それでも生きている。活きてしまうので息が跳ねる。
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なぜ死は静寂として齎されないのだろう、と、友人は言う、波が嘲るように声をあげる、いきものはひたむきに躰をくねらせるのにどこまでも静寂だ、静寂に色彩を宛がうように、俯瞰の渦を巻き、
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網膜から角膜へ跳ね上がって、外へ飛べず内へ跳ぶ声の息が、眼中に波を打ち渦を巻く。
他我を自我で縛り、その他我で自我を縛る、自縄自縛の二重螺旋。
さながら
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