【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
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【明け方の浜辺】は「開眼」、【鋭い目つきの鳥たち】は「鳥目」(夜盲)の表象。
光のない盲点が眼に入射して、虹彩をねじのように旋回させ、瞳孔をこじ開ける。死体のように瞳がひらく。
だから、この視野は「眩」しい。目が玄(くろ)い。目が開けば開くほど視界は目映く、見えない。
この視野で言「葉」たちは、羞明している。光合成の養分を拒んで明るきを羞(は)じている。
3章の視野に、根も葉もない【枝】(3章)が群生して【森】となるのはそのためだ。
羞明する「鳥目」のしたで跳ねている【打ち上げられた魚たち】は、「思」のない【鰓】(4章)。声の嗄れた息だ。
目は口ほどに
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