【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
膜に豊富に流れている」ということしか述べていない。言い回しが違うだけで、【私と友人】(=語り手)が述べる言葉とそっくり同じ内容だ。
なにせ【影たち】は語り手自身の投影、語り手の【文法】が編集した木魂でしかない。
3章の【教授】の問いも同様に、自問でしかない。すでに出ている自答でしかない。
この自我迷執のさまを、「死んだようにひらいた瞳孔」の表象が描出している。
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明け方の浜辺、打ちあげられた魚たちが至るところで跳ねている、その上空を鋭い目つきの鳥たちが旋回している、
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