【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
至る血管のように。
此岸は諸法無我だから、どれほど根も葉もない空論の【枝】(3章)でも、だれかのなにかを【指】(3章)してしまう。
これが、白眼視に群生する【白い文法】だ。
ママンを埋葬した日の太陽に裁かれたあの『異邦人』や、かれを殺したあの検事やあの司祭の法律だ。
【青い花が好きだった赤い少女が白い文法の群生する野原を駆けていく夢を見たんだ】(1、4章)このような訥弁の独白も、あれほど饒舌だったムルソーの陳述も、変わらない。同じように誤って読まれる、言ってもいない意味ばかり読まれる。
ムルソーは「かつてママンの葬儀で泣かなかったから」処刑された。かれの陳述をあの検事は「この
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