【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
殺されることで羽化し、成虫となって飛び回るのだ。
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自我迷執のためにいま、語り手の視野には、語り手自身の【影】しか映らない。
あらゆる他者が【黒い影】にしか見えないどころか、自分自身すら【黒い影】の【外人】にしか見えていない。
他者が自我の投影で、自我が他者の反映だからだ。他者にフィルターをかけているから自我にもフィルターがかかる、他者に貼ったレッテルがそのまま自我に貼られる。【静寂に色彩を宛がうように】(1章)
偏見は木魂だ。すべて己に返る。己しか言いあてないまま己を「記」す【文法が手を広げる色彩の森の中で】(4章)
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