【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
 
喩の【影】に、【●】に。瞳孔が穿つ見解の穴、盲点に。

 1章【●ring】は、瞳孔に入射する外界を描出する。
 その瞳孔、【私の黒い瞳】(3章)は、死んだようにひらいている。2章で【●kasou】(仮想/火葬/仮葬)されたからだ。
 3章【●eyes】は、散瞳されたその眩しい、「目の玄(くろ)い」死んだような視野を描出する。
 目が開けば開くほど世界は見えない。瞑目の眼中に飛び散る4章【●yagate】の歌のように。
 自身を仮想で火葬しておきながら、来るという前提で未来を仮想する矛盾のように。見えていないので的を射ない。

 この詩の語り手は、語り手自身の特権によって殺された。
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