【HHM2参加作品】「旅立つということについて」小林青ヰ/そらの珊瑚
は市場へ売られていく。
自分が売り物(家畜)だったとはたと気づかされる。首には(鼻?)たぶん、あらなわ。
自分が何者であるのか、それに気づくというのは幸せなのだろうか、それとも不幸せなのだろうか?
もうひとつ私が想起したものは「異邦人」という小説である。
※「きょう、ママンが死んだ」という一文から始まるが、あれもまた生きることの不条理を描いたものでなかったか。
「太陽がまぶしかったから」というへんてこな理由で殺人を冒して捕まった主人公ムルソーはまさに文字通り生き急いでいた。
そして死刑判決を受ける。
生き急ぐことを実感して、つまり日常は忘れていた死をすぐそこに意識することによって
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