峯澤典子詩集『ひかりの途上で』について/葉leaf
 
。そして、引用部から読み取れるように、峯澤の作者としてのたたずまいは、とても清潔で落ち着いていて端然としていて、読者に美しさを感じさせるものである。

視線を合わせるのも そらすのも
こうして花に姿を重ねるのも、不遜、と知りながら
目はなぜ瞬時に識別するのか
底に満ちる孤独を
底が深ければ深いほど
見つめたあとは すべもなく離れるしかないというのに

すべての花が店頭に並べられ
花屋の扉がいったん閉まると
手折られた庭薔薇も男も 朝日に溶け
丸まった新聞紙だけが
風に運ばれていった
       (「運ばれた花」)

 このように、峯澤の詩編には彼女の倫理的なたたず
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