峯澤典子詩集『ひかりの途上で』について/葉leaf
することによって、豊かな生態学的環境を作り上げている。例えば「異郷」という言葉が出てくるが、これは読者に憧れのような気持ちを抱かせ、想像を膨らませ、ロマンチックな印象をもたせ、異郷との隔たりを感じさせるだろう。これらの読者の反応を生み出す「異郷」の働きかけが、「異郷」の生態学的な意味なのである。だが、この生態学的環境は何も自然だけではない。この引用部では「優しいひと」というのが出てくるが、人間もまた読者に生態学的な働きかけをしてくるのだ。優しい人は、人間の甘えるという行為を誘発したり、話しかけるという行為を誘発したり、和やかな気分を誘発したりする。そして、詩の抒情性とは、畢竟この作品中の言葉が生み
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