ほねのみるゆめ/itsuki
 
い朝に彼女は目を覚ましました。きんと冷えた冬の訪れを、目覚めたての頬で彼女は感じます。そうしてまた、さえぎるものが何かあるわけでもないのにそれでもあたたかいその寝室のことを、彼女はただただ不思議に思うのでした。

「ねえ、私はゆめを見たよ。君のゆめを見たよ。」
寝起きの声で彼女がささやくのに、彼は尾だけで静かに返事をしました。
「平原を駆けるゆめだったんだ。こんな部屋よりももっと広い平原で、うんと高い目線で、うんと早く走ったんだ。まえに図鑑でみたやつがたくさんいて、そいつらを追いかけて、追いかけられて、吠えて、吠えられて、そんな風にして走りまわったんだ。まるで君になったみたいだった、君の、
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