美人慣れ/小川 葉
らの私は強かった。なに、美人は景色のひとつだと思えば良い。道ばたに、美しい花が咲いている。毎年咲く花だ、つまらぬと、そのように心がけてきた努力の結実が、まさに今の美人慣れした、私の信念の原点なのである。
それほど秋田は美しい。しかし美しいものは、見慣れてしまえばただの景色である。ひとたび美人慣れしてしまえば、秋田には何もなくてつまらない、とさえ思いはじめてしまうだろう。
しかしあるのである。都会にはないものが。美人が、人が、生活が、気さくなふれあいが、会話が、思いやりや、やさしさが、人の苦しみ、悲しみを哀れむ、やさしい心、そのすべてが秋田にある。
ここで恐ろしくも美しい、秋田美人について、構
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