美人慣れ/小川 葉
 
、構造的に解説してみたい。秋田美人は、まず肌が違う。白く透き通った質感は、瀬戸物のそれに近い。夏が短く、冬は寒い、灰色の空におおわれ、日照時間が少なく、汗をかかなくなり、毛穴が退化したため、そのような肌になったのだと聞く。
そのような、肌の美人が、春の訪れとともに、街にふわふわと、虫のようにあらわれるものだから、この季節には、まるで妖精かなにかを見ているような気持ちになる。
毎年咲く花だ、つまらぬと、心がけてきたつもりであるのだが、この季節に私は弱い。
もうすぐ、桜が咲く。花とともに、たくさんの美人も、見ごろになることだろう。
この季節になると、しかたがないのだから、私も交通事故だけには気をつけて、一輪一輪、多くの花を鑑賞したいものである。
観光で、秋田を訪れる方も、どうか無理をせず、落ちついて、花を、美人を、鑑賞していただきたいものである。これは、私からの最終警告である。


平成二十五年 三月二十八日 記す
 
 
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