美人慣れ/小川 葉
 
 
 
秋田に来てはや二年。気がつけば、すっかり美人慣れしてしまった私がいる。逆に言えば、美人慣れするには、二年も要するということである。これはたいへんな試練である。
美人を見ても動じない。読者のみなさんは、それを残念なことに思われることだろう。しかし、そうでもないと、秋田では生きていけないのである。実際、私は美人のせいで、死にかけたことがある。
秋田に来た頃、やはり美人が多いと感じた。それは、たまに美人が目の前にあらわれて、おっ、となるような数ではない。そこらじゅう、美人で埋め尽くされているのである。私はあの世かと思った。たまに美人がいて、おっ、と鑑賞する分は良いものであるのだが、数が多
[次のページ]
戻る   Point(10)