キャンディと王様・前章/にゃんしー
 
やはり合格圏内ということだった。
 このままでは、海ひとりが手塚山高校に合格できないということになる。
「海、大丈夫だって。国語と英語は私よりいいじゃん。
 社会と理科も悪くないし。数学だけ頑張れば、絶対合格できるって」
 乙彼が海の背中をさすりながらそう言うと、海は額を机につけたまま、
「無理だよぅ数学苦手だもん。ずっと苦手なのに明日急にできるようになるわけないよ」
 と返した。
 乙彼が、海の右脇をくすぐる。
 海は、
「ひゃっ」
 と声を出して、ようやく頭を上げた。
「じゃあさ、今日、最終特訓しようよ。海の部屋でさ、水樹と3人で」
 乙彼が言うと、海は口元を引き締めて
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