キャンディと王様・前章/にゃんしー
 
かった。
最近では海の部屋に3人で集まって勉強したり、受験対策を交換することも増えていた。


「つーか乙彼、その恰好で京都いくん?」
 水樹が言う。
 乙彼は玄関脇の壁に据えつけられている全身鏡で自分の姿を確認した。
「え、なんかへん?」
「何でショートパンツやねん。外、めっちゃ寒いねんぞ」
「なによ。あんたが早く準備しろって言うから、適当にそのへんの着たんじゃん」
 水樹と乙彼が言い合いをするのに割り込んで、海が、
「せめて上着着たほうがいいよ」
 と言うと、乙彼はようやく素直に頷き部屋の奥に戻って、
 黒いダウンジャケットを着込んで出てきた。
 ずいぶん大柄なそれ
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