草/葉leaf
っていた。
現代詩を書くとき、それに先立つ静寂が熟していく。詩を書くということは、粘土をこねるようなもの。充満した液体が閾を超えて溢れ出していくようなもの。そこには語りえない技術が詩の源泉に介入していて、技術は否定に否定を重ねて、最終的に肯定にまでは至らない緩やかな証明を与えることで詩行が生まれる。決して治癒に至らない火傷、裂傷、骨折が、その熱ゆえに身近な道具を鎔かし尽くし、抽象的な合金を作り上げる。もっとも光り輝く憎しみが、その矛盾ゆえに生活の細々した豊かさに休息を求める。
――草はすべての方位に向かって頑なに分枝していった。いや、方位は意味を持たなかった。枝を生やすごとに周りの空間は全
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