光と、沈黙/まーつん
 
迷いなき羽ばたき

 見下ろせば
 魚が水を掻き分けていく

 その
 脇目も振らぬ泳ぎ

 虫の食った果実を
 受け入れようとした私の胃が
 反駁し、痙攣を起こした

 飲み込みかけた理屈が
 未消化のまま喉元を逆流し
 悪臭を放つ反吐となって
 足元の地面に、飛び散りかけた

 なんて
 不自由な生き物だろう
 人間とは

 私たちには
 翼も、鰓もない

 唯、肥大した脳があるだけだ
 囚人の足首から延びる
 鎖の先につながれた
 鋼鉄の、重しのように

 あるいは、不格好な
 癌細胞のように

 この星の生態系
 そのピラミ
[次のページ]
戻る   Point(8)