光と、沈黙/まーつん
 
ラミッドの頂点に立ちながら
 下々の生き物たちが
 当然のように分かっている事を
 人間だけが、知らない


 自分が
 何者であるのか、
 ということを


 人は言葉を使って
 出口のない迷路を造り出し
 自ら足を踏み入れた

 私たちが
 思いを巡らせるほどに
 迷宮は拡大していき
 終わりは益々、遠のいていく

 言葉を持たない者共は
 己という存在の意味について
 自殺する程悩むことはない

 なのに

 自らを知るために
 自らを殺し
 その足元を支える
 我が家さえをも
 壊そうとしている

 それが
 この星で一番賢く
 無知な生き物、人間

 私は
 今日も言葉を
 捨てることができずに
 自分が誰なのかを
 問い続けている



 夕暮れの河原で



 やがて、星が瞬き
 全てを教えてくれるだろう
 
 
 
 光と
 沈黙を以て



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