時里二郎詩集『ジパング』について/葉leaf
のとして受け取るという約束のもとでは快に転じるのである。それは、グロテスクなものが恐怖を呼ぶだけでなく滑稽味を帯びたものでもあるということとも関係しているし、グロテスクなものの放出が一種の祝祭的な楽しみを生み出すこととも関係している。グロテスクなものの不快は、「それが現実であったならば」という条件のもので発生するのであって、その条件さえ削除すれば残るのは滑稽さや祝祭的な楽しみ、更には弱められた恐怖の快い戦慄である。時里の詩編は、虚構であることを明確に示すことで、グロテスクなものの不快さを非常に低くし、逆に快さを高めているのである。
帝をはじめ居並ぶ者どもは、初学の者ですら外すのも難しい動か
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