時里二郎詩集『ジパング』について/葉leaf
メタファーになりえないだろうか。しかもその<原器>を元首自身が割ってしまい、その収集に明け暮れるというさまは、きわめて寓意的だと読むこともできる。例えばこれは現実の国の元首の政治的失敗を表すものである、など。あるいは、この<原器>は物質化されてはいるが本当は世界の根本法則を表すものであり、かつて科学的に知られていたその法則が文書の散逸などでわからなくなり再びその法則を見出す過程がここで描かれているのだ、など。
大体において、虚構の世界でいかに非現実的なことが起ころうと、それは現実の何ものかと寓意的に結び付けることができる。その意味で時里は、現実も虚構をも貫通する出来事の寓意的ネットワークを十二
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